トークン(token)とは、直訳すると「しるし」「象徴」などを意味する英語ですが、IT分野、あるいは仮想通貨(暗号通貨)やWEB3.0界隈でなど、業界や文脈によって、その都度「トークン」の意味は異なります。仮想通貨やNFTゲームを始めようとするとき、トークンの意味に困惑してしまう人も多いと思われ、基本的な事項と購入方法やメリットをご説明します。
結論:トークンとはデジタルアセット(*)であり、デジタルクーポン(みたいなモノ)
「トークン」とは、ブロックチェーン技術が活用された諸々のプラットフォームで生み出されるデジタルアセットで、特定の目的を持っています。
*デジタルアセットとは、資産として価値のある、特定の目的をもったデジタルデータです。
特定の目的は、非常に多岐にわたりますが、それは、「クーポン」をイメージするとわかりやすいでしょう。
クーポンは、小売店や飲食店が、顧客サービスに発行・提供する割引券や「プレゼント券」などを指します。こうしたクーポンは金銭的な価値を持っていますが、その金銭価値を現金に引き換えることはできず、使用目的は、その店で購入できる特定の商品やメニューに限定されています。
トークンとう言葉・名称は、文脈によって指し示すものが異なり、真剣に調べるとちょっとややこしくなりますが、WEB3.0や暗号資産・ブロックチェーンの専門家ではない、素人ユーザーの認識としては、上記のクーポンのイメージから、トークン=デジタルアセット≒「デジタルクーポン(みたいなモノ)」程度の認識でOKでしょう。
以下でもう少し詳しく説明します。
トークン、そもそもの意味は?
多くの意味をなすトークンについて、日本語訳の例を列挙すると、代用通貨、引換券、商品券、記念品、証拠などがあげられます。
例えば、ネット決済やクレジットカード決済などキャッシュレス決済で使われる「トークン」は、本人であることを示す「しるし」として認証デバイスそのもののことを指します。
日常で分かりやすい例としては、ポイントカードや図書カードなどもトークンの1種です。
このほか、従来の硬貨や紙幣の代わりに使うデジタルマネー全般のことも「トークン」と呼びます。仮想通貨(暗号資産)の代表格であるビットコインやイーサリアム広義ではトークンに含まれる一方で、仮想通貨とトークンを区別して語られることもあり、ちょっとややこしく感じる方も多いでしょう。(仮想通貨・暗号資産とトークンの区別は後に記載)
基本的には、トークンはデジタル技術上の財産となるようなデータ資産(デジタル資産)で、複製できないものと考えましょう。
ここから以降は、この記事の本題である暗号資産やWEB3.0界隈におけるトークンについて、ご説明います。
暗号資産とトークンの違いは?
厳密に言えば「トークン」は暗号資産(仮想通貨)を含めたデジタル資産の総称と言えます。しかし、ブロックチェーンなどの進展に伴って、次第に文脈によっては、暗号資産よりも、具体的で特定の意味を持つようになってきました。文脈によってトークンの意味するところが変わるというのは、大きく分けて3つ、①リアル(現実)のおける経済活動で用いられるトークン、②電化製品・事務分野におけるトークン、③WEB3.0におけるトークン、異なるニュアンスがあることを指します。
WEB3.0における暗号資産とトークンの違
「暗号資産」と「トークン」は関連するが、それぞれ異なる概念を指しています。
暗号資産(Cryptocurrency):
暗号資産は、デジタルで暗号化された通貨で、通常は分散型台帳技術であるブロックチェーン上で取引されます。これは、ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)などの通貨を指します。暗号資産は主に分散型の仮想通貨として知られており、支払い手段や投資として使用されることがあります。
トークン(Token):
トークンは、特定のプラットフォームやプロジェクトで機能するデジタルな資産を指します。これは、ブロックチェーン上で作成され、保有者に対する特定の権利や利益を表現することがあります。トークンは通常、ブロックチェーンネットワーク上のスマートコントラクトによって管理され、取引されます。トークンは様々な用途で使用され、例えば、NFT(非代替可能トークン)はその一例です。また、プロジェクトのソフトウェアやサービスの利用権、特典、株券などの概念を表現するためにトークンが発行されることがあります。
要するに、暗号資産は通常通貨としての機能を持ち、広く流通することが期待される一方、トークンは特定のプラットフォームやプロジェクト内での特定の権益や利益を表すデジタルアセットです。暗号資産が一般的に通貨としての使用を意味するのに対し、トークンはプロジェクトやサービスの生態系内で特定の目的を果たすために設計されることがあります。
トークンの代表的な定義はおおまかに2つあります。また、この2つのトークン定義の意味するとこは、若干ニュアンスが異なりますが、ほぼ意味するところは同じです。
(1) ビットコインおよびイーサリアム(厳密にはこれらもトークンですが)以外のあらゆる暗号資産を指します。この場合、ビットコインおよびイーサリアムはクリプトと呼ばれ、イーサリアムなどのプラットフォーム上で発行されるデジタルアセットをトークンと呼びます。
(2) 多くの分散型金融(またはDeFi)トークンがそうであるように、他の暗号資産のブロックチェーン上で動作する特定の暗号資産を指します。トークンには、分散型取引を実現することからビデオゲームの希少アイテム販売まで、多岐にわたる潜在的な機能があります。それと同時に、どのトークンも他の暗号資産のように取引・保有が可能です。
デジタルアセット(資産)は、データによって、「お金」「メタバース上の土地」「ゲームで使うアイテム」「ブログのポスト内容」「映画や音楽や本などのコンテンツ」「契約書や許可証」などなど、あらゆるものを表現できます。これらが、それぞれトークンの1種として扱われています。
トークンとクリプトの違い
トークンと似た意味を持つ言葉として、「クリプト」があります。
クリプトもデジタルアセットと同様に、資産価値をもつデジタルデータですが、違いを説明すると下記のようになります。
クリプト(Cryptocurrency)
クリプトは「暗号通貨」という意味を持ち、ブロックチェーン技術をベースにしたデジタルな通貨を指します。これは、分散型の暗号学的技術を使用して取引の安全性とプライバシーを保護するデジタル通貨を指します。
代表的なクリプトとしては、ビットコイン(Bitcoin)、リップル(XRP)、イーサリアム(Ethereum)などがあります。これらはブロックチェーン上で発行され、分散化された取引システムを提供することが特徴です。
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なお、ビットコイン(Bitcoin)、リップル(XRP)、イーサリアム(Ethereum)は、カレンシータイプのトークンとも呼ばれます。このことは、仮想通貨も広義ではトークンの1種であり、「仮想通貨」と「クリプト」と「カレンシータイプのトークン」は、同義語と言えます。
トークン(Token)
繰り返しになりますが、上記の「クリプト」との対比で、トークンについて例をあげて、説明すると下記のようになります。
トークンは、ブロックチェーンプラットフォーム上で発行されるデジタルアセットを指します。トークンは、イーサリアム(Ethereum)などのプラットフォームでスマートコントラクトによって作成され、特定のアプリケーションやプロジェクトの機能をサポートするために使用されます。
トークンは通常、暗号通貨(クリプト)の上で発行され、そのプラットフォーム上で利用されるための機能や利益を提供します。例えば、プロジェクトの資金調達を目的としたトークンセール(ICOやSTO)、分散型アプリケーション(DApps)のアクセス権を管理するためのトークンなどがあります。
簡単に言えば、「クリプト」はデジタルな通貨を指し、ブロックチェーン上で取引の記録が行われます。一方、「トークン」は特定のプロジェクトやアプリケーションのために発行されるデジタルアセットであり、特定の目的を持ちます。(トークンの目的に応じて、上記の「カレンシータイプのトークン」との対比で、ユーティリティタイプ、アセットタイプ、セキュリティタイプに分類されます。)
補足:トークンの概念と具体的な種類の詳細
概念
トークンは、ブロックチェーン上で特定の資産や権利を表すデジタルな単位です。
トークンは、主にスマートコントラクトと呼ばれるプログラムによって発行、管理されます。
トークンは、主にイーサリアム(Ethereum)などのプラットフォーム上で発行され、インターネット上で交換や保有が可能です。
トークンは、様々な用途に使用されます。例えば、プロジェクトの資金調達(ICOやSTO)、デジタルアセットの所有権の証明、アクセス権の管理、スマートコントラクトの実行などがあります。
具体例
ERC-20トークン
ERC-20は、イーサリアム上で最も広く使われているトークン規格です。ERC-20トークンは、イーサリアムのスマートコントラクトに準拠して発行され、イーサリアムのネットワーク上で取引が行われます。例えば、Golem(GNT)やChainlink(LINK)などがERC-20トークンの代表的な例です。
ERC-721トークン
ERC-721は、ノンファンジブルトークン(NFT)として知られるトークン規格です。NFTは、各トークンが一意の特定のデジタルアセット(例: デジタルアート、バーチャルランド、ゲームアイテムなど)を表現します。CryptoKittiesやDecentralandなどのプロジェクトがERC-721トークンを使用しています。
BEP-20トークン
BEP-20は、Binance Smart Chain(BSC)上で使用されるトークン規格です。BSCはイーサリアムに似た仕組みを持つ独自のブロックチェーンであり、BEP-20トークンはその上で発行されます。例えば、Binance Coin(BNB)やPancakeSwap(CAKE)がBEP-20トークンの例です。
TRC-20トークン
TRC-20は、Tronブロックチェーン上で使用されるトークン規格です。Tronは分散型アプリケーション(DApps)を開発するためのプラットフォームであり、TRC-20トークンはその上で発行されます。例えば、Tether(USDT)やWINk(WIN)がTRC-20トークンの例です。
これらは一部の代表的なトークンの例ですが、ブロックチェーン技術の進化と共に新しいトークン規格が登場することもあります。
投資対象としてのトークン
トークンは、仮想通貨「ビットコイン」「イーサリアム」などのカレンシートークンと同様に、投資対象となります。トークンへの投資のメリットを説明ます。
1. 利益を得られる可能性がある
1つ目は「トークンの売却で利益を得られる可能性がある」点です。
小売店・飲食店が顧客向けに配布するクーポンは、転売不可ですが、デジタル資産であるトークンは市場価格があり、変動します。
トークンの購入後、値上がりしたタイミングで売却すれば、その差額を利益として得ることができます。この点は、株式投資などと同様で、「安い買って、高く売る」が基本となります。
実際に、発行時から数百倍以上の価格になったトークンは多くあり、投資家にとっては大きく利益を上げるチャンスがあり得る投資と言えます。(ただし、価格の下落・暴落もあり得ます。)
2. 利用し、楽しむことができる
2つ目は、購入したトークンを利用したり、遊んだりできる場合がある点です。
ICO(*後述)などに参加してトークンを取得した場合、そのトークンは特定のサービスの利用券として利用できることがあります。
トークンごとに使用できるサービスは特定されており、例えばゲーム内で使えるトークンやのほか、特定の取引所でほかの通貨と交換できるトークンもあります。
3. 少額から投資が可能
3つ目は、積み立て感覚で少額から投資することが可能である点です。
仮想通貨の取引所によって最低購入額は異なるものの、トークンは比較的少ない金額から購入することができます。株式や投資信託に比べて少額で購入できるので、初心者でも気軽に購入しやすくなっています。
ただ、トークンの購入は、直接日本円から購入することができない場合も多いため、まずは仮想通貨の取引所でビットコインやイーサリアムなど仮想通貨を購入する必要があります。ビットコインなどの仮想通貨を購入するためには、仮想通貨の取引所に口座開設が必要です。
補足*ICOとは?
トークンを調べているときに、「ICO」という言葉に遭遇する可能性があります。
ICOとは、Initial Coin offering(イニシャル・コイン・オファリング)の略称で、意味は、「新規仮想通貨公開」です。
「クラウドセール」や「プレセール」、あるいは「トークンセール」とも呼ばれます。
ICOの概要・ポイントを説明すます。
1. 企業などが資金調達の手段の1つ
独自のトークンを発行することで、企業や団体は世界中の投資家から、インターネットを通じて資金を調達することができます。
調達する資金は仮想通貨になりますので、「仮想通貨を使ったクラウドファンディング」とイメージするとよいでしょう。
2. 権利関係で株式とは異なる
企業の新規株式公開と似ていますが、異なる点があります。
トークンを使って資金を調達するICOですが、株式の場合、株式を保有している人(株主)は、議決権や株主優待の権利、配当を受け取る権利を得ますが、トークンの場合、所有者は基本的には何らかの権利を持ちません。いずれも企業側に返済義務はありませんが、法的根拠のある権利という点で考えると、株式とトークンは大きく異なります。
トークンへの投資で気をつける点
トークンへ投資するときに気を付けたいポイントには、例えば以下が挙げられます。
1. ICOの法整備が整っておらず、今後法整備の可能性がある
1つ目は「ICOの法整備が整っていない」点です。
仮想通貨を含めて、ICOやトークンに関する法律はまだ明確に決まっていません。特に、法律に引っかからない悪意ある業者やグレーゾーンのICOなども多くあるので、投資は自己責任で行う必要があります。
2. 詐欺に合わないようにする
ICOは、法整備が不十分ということと関連しますが、法整備が整っていないだけに、詐欺に利用されるケースもあり、実際に起きています。特に、誰でも簡単に資金を集められる方法ということもあり、細心の注意が必要です。
詐欺に遭わないためには、きちんとした仮想通貨の知識を身に付けることも大切と言え、特に、トークンを発行する企業のホワイトペーパーと呼ばれる企画書は、必ず確認する必要あります。
ICOに参加することで利益を得られるというメリットはあるので、事前にきちんと吟味して参加するのが大切です。
トークンへの投資手順
トークンへ投資するための手順は下記の段取りとなります。
1. トークンの情報収集をする
そのトークンが信頼に足るものかどうか、発行元のサイトや情報を確かめる必要があります。なかには詐欺もあるので、この事前調査はとても大切と言えます。
2. トークンへ投資するための仮想通貨を購入する
トークンを購入するためには、基本的にはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を、取引所から事前に購入する必要があります。
DMM Bitcoin
DMM Bitcoinでは、国内No.1となる25種類もの仮想通貨がラインナップされている。
(日本円などから直接購入することはできないので、必ず事前に仮想通貨を購入できる環境を整えておく必要があります。)
3. ウォレットを作る
トークンを獲得したときに備えて、それを受け取るためのウォレットを作成しておきます。
仮想通貨の取引所のウォレットではなく、自分のウォレットで保管します。なお、トークンごとに対応しているウォレットが異なるので、事前に調べて対応するものを選ぶようにしましょう。
4. ICOに参加する(仮想通貨を送金する)
ICOに参加する場合には、売り出されるトークンを取得するために、イーサリアムなどの仮想通貨を、指定のアドレス宛に自分のウォレットから送金をします。
5. トークンを受け取る
仮想通貨を送金すると、トークンが自分のウォレットに自動的に送られてきますので、そちらを受け取ります。