リップルの特徴を理解するためには、主要な暗号資産との比較で、その違いを認識することが手っ取り早いです。
実際、リップル(XRP)は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)よりも、分りやすい目的と技術を持つ暗号資産です。
リップル・ビットコイン・イーサリアム比較一覧表
項目 | リップル(XRP) | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) |
機能・目的 | 国際送金・決済 | デジタルゴールド(価値の保存) | スマートコントラクト・DApps開発 |
開発者 | Ripple社(旧:Ripple Labs) | サトシ・ナカモト | ヴィタリック・ブテリン |
発行方式 | 1000億XRPを一括発行 | マイニング(PoW) | PoS(プルーフ・オブ・ステーク) |
取引承認方法 | Ripple独自のコンセンサスアルゴリズム | PoW(プルーフ・オブ・ワーク) | PoS(プルーフ・オブ・ステーク) |
トランザクション速度 | 約3~5秒 | 約10分 | 約12~15秒 |
手数料 | ほぼゼロ(0.00001XRP) | 高騰しやすい(数ドル~数十ドル) | 高騰しやすい(数ドル~数十ドル) |
スケーラビリティ | 1秒間に約1500件 | 1秒間に約7件 | 1秒間に約30件 |
用途 | 国際送金・金融機関向け | デジタル資産の保存・投資 | スマートコントラクト・DApps開発 |
供給上限 | 1000億XRP(追加発行なし) | 2100万BTC | なし(ただしEIP-1559でバーンあり) |
環境負荷 | 低い(PoW不要) | 高い(電力消費が多い) | 低い(PoS) |
リップル(XRP)の特徴
リップル(XRP)は、他の暗号資産と異なるユニークな特徴を持っています。
1. 国際送金・決済に特化
リップルは、主に銀行や金融機関が国際送金を迅速かつ低コストで行うためのソリューションを提供します。従来のSWIFT(国際銀行間通信協会)を利用した送金は手数料が高く、着金まで数日かかることがありますが、リップルの技術を使えば、わずか数秒で送金が完了します。違う国の通貨と通貨をつなぐその特徴から、リップルは「ブリッジ通貨」とも呼ばれています。
2. 事前に発行済みの暗号資産
ビットコインやイーサリアムはマイニングによって新たに発行されますが、XRPは1000億枚が最初から発行されており、追加発行されることはありません。このため、マイニングによる環境負荷がなく、価格のインフレリスクも低いとされています。
3. 低コストで高速な送金
XRPの取引手数料は0.00001XRP(約0.0001円未満)と非常に安価で、送金はわずか3~5秒で完了します。これは、ビットコイン(約10分)、イーサリアム(約15秒~数分)と比べても圧倒的に速いです。
4. 銀行・金融機関との提携
上記の技術が評価され、既に世界45ヵ国・300以上金融機関が提携や出資などの形で参加しています。具体的には、SBIホールディングスやアメリカン・エキスプレスなどの金融機関と提携し、既に実際の銀行の送金システムで活用されています。特に、日本では「Money Tap(マネータップ)」という送金アプリにリップルの技術が活用されています。
5. マイニング不要のコンセンサスアルゴリズム
ビットコインは「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」で取引を承認しますが、XRPは独自のコンセンサスアルゴリズム(Ripple Protocol Consensus Algorithm, RPCA)**を採用しています。このため、電力消費が少なく、環境に優しいとされています。
6. 供給上限とバーン機能
XRPは1000億枚が発行済みで、取引のたびに少量のXRPが消滅(バーン)する仕組みがあり、長期的には流通量が減少していきます。これはインフレを抑えるためのメカニズムと言え、デフレ通貨と評されることもあります。XRPを欲しがる人が増えれば増えるほど貴重になっていく、価値が自然と上がっていくことになります。
7. SECとの訴訟問題
2020年12月、米証券取引委員会(SEC)が「XRPは証券に該当する」としてRipple社を提訴しました。この問題がXRPの価格や取引所での取り扱いに影響を与えましたが、2023年に「XRPは一般投資家向けの取引では証券に該当しない」との判決が下され、再び取引所への上場が進んでいます。
リップル(XRP)が優れている点・まとめ
・超高速決済(3~5秒で送金完了)
・低コスト(ほぼゼロの手数料)
・環境負荷が少ない(マイニング不要)
・金融機関が採用(実際に銀行が利用)
・供給上限がある(インフレリスクが低い)
・国際送金の未来を担う技術
なお、リップルは、ビットコインやイーサリアムなど主要な暗号資産と異なり、中央集権的であることも特徴の一つとされます。
この点はメリットとデメリットの両面があります。⇒リップル(XRP)の中央集権性:メリットとデメリット
まとめ
リップル(XRP)は、「国際送金の効率化」を目的に作られた暗号資産です。その高速処理、低コスト、金融機関との提携といった特徴により、国際送金の分野で注目されています。ビットコインは「価値の保存」、イーサリアムの「スマートコントラクト」よりも、明確でわかりやすい目的・機能と認識される傾向があります。
今後も、XRPが銀行の国際送金インフラの一部としてさらに普及するかどうかが、その成長の鍵となるでしょう。