リップルの歴史のざっくり知りたい

暗号資産のイロハ

リップル・XRPの歴史

リップル(XRP)は、リップル社(旧Ripple Labs)によって開発された暗号資産(仮想通貨)であり、特に国際送金や決済分野での活用を目的としたデジタル資産です。その歴史を時系列で説明します。

2004年 – Rippleの原型「RipplePay」

リップルの概念は、ビットコイン(Bitcoin)が登場する前の2004年に、ライアン・フッガー(Ryan Fugger)によって考案されました。
「RipplePay」という分散型デジタル決済システムとして開発され、金融機関を介さずに取引ができる仕組みを構築しました。

『社会的信頼ネットワークにおける借用証書としてのお金と分散型通貨ネットワークプロトコルの提案』を発表

「お金とは単なる借用証書(IOU)であり、中央管理者なしに、人々が互いの信用をもとに直接やりとりできる通貨システムを作ろう」
という新しい発想を示したことにあります。

特に重要だったのは、

  • 中央銀行や政府の発行ではなく、個々人の信頼関係を基盤に通貨を動かすという点

  • ネットワーク上で信用が連鎖し、間接的な信用取引も可能になる仕組みを提案した点
    です。

この考えは後に**Ripple(リップル)**の初期構想につながり、現代の分散型金融(DeFi)や信用ネットワークの発想にも大きな影響を与えました。

2005年

ライアン・フッガーが RipplePay.com を始動

2008年11月

サトシ・ナカモトを名乗る匿名の人物がビットコインのコンセプトをまとめた『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』を発表

2009年1月

サトシ・ナカモトらが検証システム上で世界初のビットコインを発行

同年4月
マイク・ハーンがサトシ・ナカモトとRippleプロトコルに関する情報と意見を交換

2011年 – 現在のリップルの基盤が構築

暗号資産(仮想通貨)としてのリップルの基盤は、2011年にビットコインの技術にインスパイアされた開発者たち(ジェド・マケーレブ、デビッド・シュワルツ、アーサー・ブリット)が、新しい決済システムを作るために活動を開始しました。ビットコインとは異なり、マイニングなしで取引を高速に処理できる仕組みを採用しました。

ビットコイン(BTC)とリップル(XRP)は、どちらも暗号資産(仮想通貨)ですが、開発の目的や思想はかなり異なります。ただ、初期のリップル開発者たちはビットコインの登場に大きな影響を受けたことは事実です。

ビットコイン(2009年、サトシ・ナカモトによる発表)は「中央管理者なしで、誰もが検証できる分散型の通貨」を目指していました。この思想自体が、それ以降の多くのプロジェクトに強い影響を与えました。

リップル(XRP Ledger)は、ビットコイン登場後の2011年頃からライアン・フッガーのアイデアを基に開発が進み、ジェド・マケーレブ、デビッド・シュワルツ、アーサー・ブリットなどが主要開発者でした。彼らはビットコインの革新性に感銘を受けつつも、「ビットコインはトランザクション処理が遅く、エネルギー消費も多い」という課題を認識し、それを改善することを目指してリップルを設計しました。

つまり、
✅ リップル開発者たちはビットコインの思想に影響されつつも、欠点を補う新たな仕組み(コンセンサス・アルゴリズム)を作ろうとした
✅ 直接、ビットコイン開発チームと協働していたわけではないが、ビットコインの存在なしにはリップルの開発は生まれなかった

2012年

2月、アーサー・ブリットがジェド・マケーレブとデイビッド・シュワルツのプロジェクトに参加
6月、Ripple Consensus Ledger上にXNSという暗号資産(現在のXRP)が発行される

8月、クリス・ラーセン(E-Loan, Prosper創業者)がジェド・マケーレブ等のプロジェクトに参加
ライアン・フッガーがRippleプロジェクトの指揮権をクリス・ラーセン等に譲渡

9月、クリス・ラーセン、ジェド・マケーレブ等がNewCoin社(NewCoin, Inc.)を設立
NewCoin社がリップル・トランザクション・プロトコル(Ripple Transaction Protocol:RTXP)の開発を開始
10月、NewCoin社がOpenCoin社(OpenCoin, Inc.)に社名変更(後にRipple Labsへ)

XRPの開発を本格的に進め、銀行間決済の高速化を目的としたネットワークを構築しました。

ステファン・トーマス(BitcoinJS創始者)がOpenCoin社のシニア・エンジニアに就任
ジェド・マケーレブ等がXNSをXRPに改名

2013年 – XRPの発行

9月、OpenCoin社(OpenCoin, Inc.)がRipple Labs社(Ripple Labs, Inc.)に社名を変更

Ripple Labs社社は1000億XRPを発行し、そのうち80%をRipple Labsが管理、20%を創設メンバーに配布しました。XRPは、トランザクションの手数料として使われるデジタルアセットとなり、ビットコインとは異なり、すでに全量が発行済みで、新たに発掘(マイニング)されることはありません。

2014年 – 銀行との提携開始

Rippleは、国際送金の高速化・低コスト化を目指し、金融機関との提携を進めました。
5月、ドイツのFidor Bankが初めてRippleのネットワークを採用
9月、米国のクロスリバー銀行とCBW銀行がRipple Labs社と提携

2015年 – Ripple Labsから「Ripple(リップル)」に改名

Ripple Labsは「Ripple(リップル)」に改名し、企業としてのブランドを統一しました。この時期に、SWIFT(国際銀行間通信協会)の競争相手として認知されるようになりました。

2017年 – XRPの価格急騰

2017年の暗号資産ブームの中で、XRPは0.006ドルから一時3.84ドル(約640倍)まで価格が急騰しました。この背景には、銀行との提携の増加や、国際送金システム「xRapid(現ODL:On-Demand Liquidity)」の発表がありました。

2018年 – 主要銀行との提携加速

SBIホールディングスなどの大手金融機関がRippleの技術を採用。特に、日本の銀行間送金ネットワークでの利用が進みました。

2020年 – SEC(米証券取引委員会)による訴訟
2020年12月、SECがRipple社を提訴し、「XRPは未登録の証券である」と主張しました。この影響でXRPの価格が急落し、多くの取引所がXRPの取扱いを一時停止しました。

2023年 – SECとの裁判で部分勝訴

7月、米裁判所はXRPの販売形態によっては証券に該当しないと判断し、Ripple側が部分的に勝訴。この判決後、XRPの取引再開を発表する取引所が増加し、価格も上昇。

8月、Ripple社がマスターカードのCBDCプログラムに参加

10月、Ripple社の子会社Ripple Markets APAC(シンガポール)がシンガポール金融管理(MAS)から主要決済機関(MPI)ライセンスを取得

11月、ジョージア国立銀行が CBDC のパイロットプロジェクトの最終選考でRipple社を選出

2024年 – Rippleのさらなる成長

Rippleは引き続き国際送金の分野で事業を拡大し、新たな金融機関との提携を進めています。また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発支援にも関与しています。

6月、英Clear Junctionが英国・EU間のクロスボーダー決済でRipple社と提携

7月、Ripple社が Fenasbac(ブラジル中央銀行職員協会連合)と提携

10月、SBI新生銀行がマネータップを利用した PayPay への残高チャージ機能サービスを開始

2025年

1月20日 – トランプ大統領再就任
ドナルド・トランプ氏が米国大統領に再就任しました。再選後、暗号資産業界への支持を明確にし、米国を「世界の暗号資産の首都」とする意向を示す

2025年1月23日 – 暗号資産に関する大統領令に署名
トランプ大統領は、「デジタル資産市場に関する作業グループ」の設立を指示する大統領令に署名しました。このグループは、国家的な暗号資産備蓄の創設可能性を評価し、暗号資産に関する明確で包括的な規制フレームワークの策定を目指しています

2025年3月2日 – 暗号資産備蓄に含める5銘柄を公開
トランプ大統領は、米国の暗号資産備蓄に含める5つの銘柄として、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックスアールピー(XRP)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)を発表しました。この発表により、各暗号資産の市場価格は急上昇しました。

 

4月、メルカリがXRPの取引サービスを開始

4月8日、プライムブローカーのHidden Roadを12.5億ドル(約1,900億円)で買収すると発表。
(詳細:リップル(Ripple)によるヒドゥンロード(Hidden Road)買収

 

まとめ

リップル(XRP)は、2004年のRipplePayから始まり、2012年にRipple社が設立され、本格的に国際送金システムとして発展しました。暗号資産ブームで注目を浴び、2020年にはSECの訴訟で大きな危機に直面しましたが、2023年の裁判結果により再び成長の兆しを見せています。現在も、銀行や金融機関の国際送金を効率化するプロジェクトとして進化を続けています。

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