日本の給与水準は世界中の先進国と比較して低いと言われて長い時間が過しています。
給与水準が伸びない中で、最近は若い世代で投資にチャレンジする方も増えているとか。
株式やFXはその代表格ですが、ビットコインなど暗号資産への投機は魅力的な値動きがあり、注目されています。
でも、なんだか難しそう、値動きが激しくてコワイなどの理由で、二の足を踏む状況もありますね。私もそうでした。
これまで株式投資をやってきましたが、今回、暗号資産にチャレンジするにあたり、調べたことをご紹介します。
暗号資産の売買は、投資?投機?
投資と投機は、株式やFXなどで利益を狙うという意味では同じで、明確な線引きはないようです。
一般に株式は投資、FXは投機と言われることがあります。
ただ、株式も短期的な売買を繰り返すばあいは、「投機」と言うべきで、投資と投機は「投資期間の違い」とも言われます。
資産の価値に着目して「中長期的」に利益獲得を目指すのが投資で、価格変動のみに着目して「短期」で利益獲得を目指すのが投機と言えそうです。
さて、暗号資産の売買についても価格変動に着目した売買であることが大半と考えると、投機の一つと言えるでしょう。
一方で、特定の暗号資産の機能とその将来性に着目し、中長期で価値の増大を目論む場合は、投資と言えそうです。
ただ、仮に中長期的な値上がりを目論む投資であっても、株式と暗号資産では、多くの違いがあります。
株式・FX・暗号資産(仮想通貨)それぞれの投資対象・取引の性質
株式
株式投資は企業の株式を購入し所有することですね。
株式市場では、個別企業の経営状況や業績、さらに国政や世界情勢など様々なファンダメンタルを織り込んで、株価が変動します。
株式投資は企業の株式を保有することで、株主総会における議決権を保有し、企業の成長や配当などの長期的な利益を追求します。
(現在では、短期的な株式保有も増えており、短期トレードはスイング、超短期(1日など)は、デイトレードと呼ばれています。)
FX
FX(Foreign eXchangeの略)は外国為替市場での通貨ペア(2国間の通貨)の取引を指します。
主要な通貨ペアの中での為替レート変動によって利益を追求します。
取引のポジションを中長期的に保有することもありますが、短期的なトレードが一般的です。
主な利益の源は為替レートの変動差です。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産(仮想通貨)はデジタル資産であり、暗号技術に基づいています。
代表的な暗号資産(仮想通貨)としてはビットコインやイーサリアム、リップルなどがあります。
暗号資産市場は非常にボラティリティ(価格変動の大きさ)が高く、急激な価格変動が起こることがあります。暗号資産投資は短期的な利益を狙うことが多く、値上がり益や値下がり益を追求します。
取引のリスク
株式
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株式投資も市場の変動によるリスクがありますが、企業の業績や長期的な経済トレンドに基づいて投資判断をすることができます。株式保有の目的として、株価の値上がり(株価変動)のほかに、配当や優待もあって、投資家の種類も多岐にわたるため、暴落しても回復が一定見込め、長期保有・投資に適しています。(ただし、銘柄により違いがあります。)
ただ、企業の倒産などのリスクも存在します。
FX
FX取引は、為替変動による為替差益を大きくするためにレバレッジ取引を行うことが一般的で、それによって小さな資本で大きな利益を追求できる反面、損失も拡大する可能性があります。市場の急変動や予測不可能な要因によるリスクがあります。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産市場は非常にボラティリティ(*以下ではボラの略称を使用します。)が高く、価格変動が大きいため、大きなリスクを伴います。ボラは、株式やFXでも大きくなる局面もありますが、暗号資産の場合は、市場参加者の大半が大きなボラを期待して取引をしているため、ボラが大きいことが前提となっている点で、株式やFXよりもリスクは高くなりがちです。また、詐欺行為などのリスクも株式やFXよりも多く存在します。
*ボラティリティー(Volatility)とは、一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティーが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、「ボラティリティーが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味します。
取引の規制
株式
株式市場は日本では各種規制が細かく行われており、企業の開示要件、機関投資家の手口開示、個別に対する臨時規制(信用取引など)があり、規制の目的として個人投資家保護のための法律や規則が存在します。また、個人向けの税制面の優遇措置(損失の繰り延べなど、NISAの税制優遇など)もあります。
FX
FX取引は各国の金融当局によって規制が行われています。
投資家保護やマーケットの透明性の確保などが目的となっています。
税制面は損失の繰り延べ措置はあります。
暗号資産(仮想通貨)
暗号通貨市場は比較的新しい市場であり、規制が未整備な面が多くあります。
(一部の国では暗号資産に関する法規制や規制が行われています。)
日本では、株式のような細かなルール・規制がなく、個人投資家保護の目的や税制優遇などもありません。
(現在、規制・保護が検討されています。☞規制・保護検討の例
総論:株式投資と暗号資産の違い
株式投資と暗号資産の投資の違いは多岐にわたるため、総論として、下記にまとめます。
株式が企業としての収益力の成長に投資、企業は人の集団であり、経営陣の意思決定に投資している面があります。したがって、投資家にとって、企業の経営方針や経営陣の能力、その企業の業種の市場環境なども大きな検討事項となります。
これに対し、暗号資産は、主にブロックチェーン技術の進展への期待への投資であり、経営など属人的集団的な意思決定に投資している面はありません。(ブロックチェーン自体が非中央集権的であることにも起因しています。)
暗号資産市場では、技術的な進歩や革新が通貨の価値や採用の拡大に直接影響を与えると考えられています。投資家は、特定の仮想通貨の技術的な優位性、採用の可能性、開発者コミュニティの活発さなどを評価し、将来的な成長や利益を期待して購入または保有を検討します。
まとめ
株式投資は、その会社の業績や配当のほか業界展望、経営者(陣)の方針などその会社を担う人(経営陣)への期待なども含まれますが、暗号資産への投資は、主にブロックチェーン技術の発展や採用拡大への期待で投資します。株式もFXも暗号資産、それぞれの投資に共通することは、需給による価格決定です。株式やFXの相場で、需給を読むことで利益を上げている方は、暗号資産の相場でも利益をあげることができるでしょう。