トランプ・共和党政権とバイデン民主党政権の暗号資産政策の違い:急騰か暴落か?
トランプ大統領の再任により、米国ではあらゆる分野で政策が転換されています。日本国内の大手メディアの報道では限定的ですが、分野によっては革命的な政策転換が実行されています。この記事では、暗号資産分野における民主党・バイデン政権と共和党・トランプ政権の政策の違いについて、その背景も含めてまとめます。
あらまし
・バイデン政権はcryptoに規制強化の姿勢を見せ、トランプ政権はcryptoを積極的に支援する傾向があります。
・バイデン政権ではSECが厳しい規制を推進し、投資家保護を重視。一方、トランプ政権は規制緩和を約束し、業界の成長を支援。
・ 背景には、バイデン政権の金融安定性への懸念と、トランプ政権の技術リーダーシップの重視があります。
政策の概要
それぞれの暗号資産に関する政策を見ていきます。
バイデン政権(民主党)
cryptoに対して慎重な姿勢を取ってきました。
SECのゲンスラー議長の下で、多くのcryptoを証券とみなし、CoinbaseやBinanceなどの取引所に対する規制違反の訴訟を起こしました。また、銀行がcrypto関連サービスを提供することを制限する動きもありました。ただし、2024年1月にはビットコインETFを承認し、一部ではcryptoの合法性を認める動きも見られました。
*背景
バイデン政権の規制強化は、投資家保護や金融安定性の確保、cryptoが資金洗浄や詐欺に利用されるリスクへの懸念に基づいています。民主党内でも意見が分かれ、cryptoを金融犯罪のリスクと見る者と業界成長を支援する者との間で議論があります。
トランプ政権(共和党)
cryptoを強く支持しています。
SECの新議長にcrypto支持者のポール・アトキンスを任命し、Rippleに対する訴訟を取り下げるなど、規制を緩和する政策を取っています。また、「アメリカをcryptoの首都にする」と公約し、戦略ビットコイン準備金の設立を発表。トランプ自身もcrypto関連のNFTを発行し、業界とのつながりを強化しています。
*背景
トランプ政権のcrypto支援は、米国が金融技術のリーダーシップを維持するための戦略と見られます。また、crypto保有者や業界関係者を重要な支持基盤とみなし、選挙戦略の一環としても推進されています。トランプは当初cryptoを批判していましたが、現在は支持に転じ、個人的なスタンスの変化も背景にあります。
論争と影響
crypto政策は政治的な論争の対象であり、投資家の保護と業界の成長のバランスが課題です。トランプ政権の政策はビットコイン価格の上昇(2024年12月に10万ドル超え)を引き起こしましたが、投資家のリスク管理が十分か議論があります。
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もう少し詳しく
バイデン政権(民主党)とトランプ政権(共和党)のcrypto政策の違いについて、以下に詳細を調査し、背景を含めて解説します。2025年5月2日時点の情報に基づき、両政権の政策の特徴、実施された具体的な施策、背景となる要因を分析します。
政策の特徴と具体例
バイデン政権のcrypto政策
バイデン政権下では、cryptoに対する規制強化が特徴的です。
特に、SECのゲンスラー議長がcrypto業界に対して厳しい姿勢を取ってきました。以下に具体例を挙げます。
SECの規制強化
ゲンスラー議長は、多くのcryptoを証券とみなす立場を取っており、CoinbaseやBinanceなどの大手取引所に対して規制違反の訴訟を起こしました。これにより、業界は米国市場から一部撤退する動きも見られました。
銀行規制
FDIC(連邦預金保険公社)とOCC(通貨監査庁)によるanti-cryptoガイダンスが2023年1月に発表され、銀行がcrypto関連の活動を制限される「Choke Point 2.0」と呼ばれる施策が実施されました。
ビットコインETFの承認
2024年1月、SECは11のビットコインETFを承認し、cryptoの合法性を一部認める動きを見せました。これにより、ビットコイン価格は47,000ドルに上昇しましたが、全体的な規制環境は業界にとって厳しいままでした。
民主党内では、crypto政策に対する意見が分かれています。21人の民主党議員がSECのcryptoガイドラインに反対票を投じ、業界フレンドリーな政策を求める動きも見られました。しかし、エリザベス・ウォーレン上院議員のように、consumer risksやfinancial crimeを理由に業界フレンドリーな政策に反対する声も強いです。
トランプ政権のcrypto政策
トランプ政権は、cryptoに対して非常にフレンドリーな姿勢を取っています。以下に具体例を挙げます。
SEC議長の任命
2025年、トランプはcrypto支持者のポール・アトキンスをSEC議長に任命しました。
アトキンスはcryptoを証券とみなすことを避け、規制を緩和する姿勢を示しています。また、Rippleに対する訴訟を取り下げ、業界との協力を強化しています
銀行規制の緩和
FDICとOCCはanti-cryptoガイダンスを撤回し、crypto銀行の新規設立を支援する姿勢を示しました。連邦準備制度理事会(Fed)は一部制限を残していますが、全体的にcrypto関連の銀行活動が促進されています。
戦略ビットコイン準備金の設立
トランプは「アメリカをcryptoの首都にする」と公約し、戦略ビットコイン準備金の設立を発表しました。これにより、crypto市場への政府の関与が強化される見込みです。
個人的な関与
トランプは自身のNFTを発行し、2023年8月時点で280万ドルのcryptoを保有していることが明らかになっています。また、meme coin($TRUMP)の発行に関与し、cryptoコミュニティとのつながりを深めています。
トランプ政権の政策は、業界から「180度の転換」と評価されており、CoinbaseのCEOブライアン・アームストロングは2024年選挙でトランプを支援する主要なドナーでした。
市場反応としては、2024年12月の選挙後、ビットコインは10万ドルを2度超え、Dogecoinも18%以上上昇しました。
背景と理由の分析
バイデン政権の背景
バイデン政権のcrypto政策は、投資家保護と金融安定性の確保を重視する姿勢に基づいています。以下のような要因が背景にあります:
投資家保護の懸念
crypto市場はボラティリティが高く、FTXの崩壊(2022年)など投資家被害が問題視されました。これにより、SECはcryptoを証券とみなすことで規制を強化し、投資家の保護を図ろうとしました。
金融犯罪のリスク
cryptoが資金洗浄や詐欺に利用されるリスクが指摘されており、エリザベス・ウォーレン上院議員はconsumer risksを理由に業界フレンドリーな政策に反対しています。
民主党内の意見の分離
ウィリー・ニッケル下院議員のように、crypto業界の成長を支援する声もありますが、全体的に慎重な姿勢が支配的です。
トランプ政権の背景
トランプ政権のcrypto支援は、以下の要因に基づいています:
金融技術のリーダーシップ
トランプは、cryptoを革新的な技術と位置づけ、米国が金融技術の分野で中国を上回ることを目指しています。業界リーダーからは、73%が米国がcryptoのリーダーになることを望んでいるとの調査結果もあります。
政治的戦略
トランプはcrypto保有者や業界関係者を重要な支持基盤とみなし、選挙戦略の一環としてcryptoフレンドリーな政策を推進しています。Paradigmの調査では、crypto所有者の48%がトランプを支持し、39%がバイデンを支持しています。
個人的なスタンスの変化
トランプは2018年にcryptoを「highly volatile and based on thin air」と批判していましたが、2024年6月には「crypto capital of the planet」を公約し、支持に転じました。この変化は、政治的・経済的な戦略的判断によるものと考えられます。
比較表:政策の違いと背景
以下に、両政権のcrypto政策の違いと背景を比較する表を示します。
側面 | バイデン政権 | トランプ政権 |
規制アプロ-チ | 規制強化、SECによる訴訟多発、銀行のcrypto制限(Choke Point 2.0) | 規制緩和、SEC議長にcrypto支持者任命、銀行規制の撤回 |
具体的な施策 | ビットコインETF承認(2024年1月)、SECの規制違反訴訟 | Ripple訴訟取り下げ、戦略ビットコイン準備金設立、crypto銀行支援 |
背景 | 投資家保護、金融安定性、financial crimeリスクへの懸念 | 金融技術のリーダーシップ、選挙戦略、個人的なスタンスの変化 |
業界の反応 | 規制の不透明さで一部撤退、業界の一部はCFTC規制を求める | 「180度の転換」と評価、市場価格上昇(ビットコイン10万ドル超え) |
論争 | 民主党内意見分かれ、投資家保護vs.業界成長のバランス | 投資家のリスク管理、トランプのmeme coin発行によるethics probe要求 |
論争と今後の展望
crypto政策は政治的な論争の対象であり、投資家の保護と業界の成長のバランスが課題です。トランプ政権の政策は市場に大きな影響を与えていますが、meme coin($TRUMP)の発行や家族のcryptoプロジェクトへの関与がethics probeを求める声も上がっています。
一方、バイデン政権の規制強化は業界の成長を阻害するとの批判もあります。
今後は、トランプ政権が約束した規制緩和がどの程度実現するか、投資家の保護が十分に図られるかが注目されます。また、民主党内の意見の統一が進めば、crypto政策の方向性に変化が見られる可能性もあります。
結論
バイデン政権はcryptoに対して規制強化の姿勢を取ってきましたが、トランプ政権はcryptoを積極的に支援し、規制緩和を推進しています。この違いは、投資家保護と金融安定性の確保(バイデン)対金融技術のリーダーシップと選挙戦略(トランプ)の背景に基づいています。両政権の政策は、crypto市場と投資家に大きな影響を与えており、今後の動向が注目されます。
主要引用文献
暗号通貨はトランプ氏にとってバイデン氏に対する新たな武器
トランプ大統領、就任100日で仮想通貨規制を書き換え、業界はバイデン政権時代からの「180度転換」を歓迎
トランプ大統領の暗号通貨計画と潜在的な利益相反について知っておくべきこと
トランプ大統領は当初知られていたよりもさらに多くの暗号資産を保有していることが新たな文書で明らかになった。
ご参考:トランプ政権の暗号資産関連の発言・政策・動向
ドナルド・トランプ大統領の再就任とそれに伴う暗号資産(仮想通貨)関連の政策は、市場に大きな影響を与えています。以下に、これまでの主要な出来事を時系列でまとめます。
2024年7月27日、トランプ氏の大統領就任前の演説(テネシー州ナッシュビルの「Bitcoin Conference」でスピーチ)
「スピーチではビットコインや暗号資産を強く支持し「アメリカが暗号資産の首都となり、世界のビットコインの超大国となることを実現する」と宣言し、暗号資産を強く支持しする姿勢を示した。
・2025年1月20日 – トランプ大統領再就任
ドナルド・トランプ氏が米国大統領に再就任しました。再選後、暗号資産業界への支持を明確にし、米国を「世界の暗号資産の首都」とする意向を示しました。
・2025年1月23日 – 暗号資産に関する大統領令に署名
トランプ大統領は、「デジタル資産市場に関する作業グループ」の設立を指示する大統領令に署名しました。このグループは、国家的な暗号資産備蓄の創設可能性を評価し、暗号資産に関する明確で包括的な規制フレームワークの策定を目指しています。
・2025年1月27日 – SECの暗号資産タスクフォース設立
米国証券取引委員会(SEC)は、新たなリーダーシップの下で「暗号資産タスクフォース」を設立し、暗号資産に対する明確で包括的な規制フレームワークの策定を発表しました。
・2025年3月2日 – 暗号資産備蓄に含める5銘柄を公開
トランプ大統領は、米国の暗号資産備蓄に含める5つの銘柄として、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックスアールピー(XRP)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)を発表しました。この発表により、各暗号資産の市場価格は急上昇しました。
これらの政策と発表により、暗号資産市場は大きく反応し、主要な暗号資産の価格が急上昇するなど、市場に大きな影響を与えています。
リップル・SEC訴訟の動向にもトランプ政権の誕生は影響したの見方があります。⇒リップルとSEC訴訟の提訴から終結までの顛末のまとめ